ぶどうの着色管理
ぶどうはこれから続々とベレーゾン期に入り、着色が始まります。植物の栽培には色々なトラブルがつきものですが、ぶどうに関してはこの着色の問題は日本中の農家さんも頭を抱えています。別に色付かなくても十分美味しいのですが、市場に出回るものは見た目が悪ければ商品価値はゼロなので大変なんです。まぁ、K's Gardenのブドウは出荷しないんで、そこまで悩むことも無いんですけど。とは言っても、ここまで手入れしたんだから頑張れよ!って思います。この時期に着色のスイッチを入れてあげないと、収穫期になっても、いくら待っても着色しません。
着色の成分
着色に関与する成分はアントシアニンです。アントシアニンは植物由来のポリフェノールの一種で、ブルーベリーなんかにも多く含まれています。この成分は強い抗酸化作用を持ち、眼精疲労や動脈硬化の予防にもなります。また、肌のしわやたるみの予防にもなるため、化粧品の成分としてもよく使用されています。となると、皮ごと食べるのが健康的には一番良いのは間違いないですね。まぁ個人的にはおいしく食べたいだけなんで、分厚い皮は食べませんけど・・・。
着色のメカニズムと問題
ぶどうは日中に葉で光合成をし、糖を蓄えます。その糖と果実に含まれる硝酸塩を使ってアントシアニンを合成させることで着色します。ここで大きな問題が・・・。植物も人間と同じように呼吸をしています。この時期、夜間の気温が下がらないことによる障害があるのです。恐らくぶどうは「あっつぅ~、息が・・・(*´Д`)ハァハァ」てな感じでしょうか。となると、昼間蓄えたエネルギーはアントシアニンの生産に向けられるのではなく、生きるために、呼吸をするために、糖は使われることになります。ここ近年は熱帯夜なんて珍しくもなく、30℃以上の超熱帯夜なんてもんまで・・・。大阪はこの先ずっと熱帯夜予報ですし。そりゃあ着色不足にもなります。夜は25度以下にならないと着色が進みません。ぶどう栽培が盛んな長野県や山梨県は盆地なので、夜にしっかり気温が下がってくれるんですよね。やっぱり寒暖差が大事なんです。
着色不良の対策は?
- まず、光合成がしっかりできるように、適正な葉数を確保する。
- 実に養分が行くように摘心を繰り返す。
- 扇風機やミストシャワーの設置で夜間の温度を下げる。
- 環状剥皮処理をして養分を地下部に戻らないようにする。
- 品種選び(緑系や黒系品種への切り替え)
1,2はやってるとして、3~5はどれも大変。なのでどれでもない今できる対策をとりあえず試してみましょう。着色は光と温度の相互作用です。光を当てれば直接的に着色を促せる半面、袋内の温度は上がって縮果症のリスクもあります。
今回はいくつかだけ光が一番当たりやすい透明袋を使用してみましょう。この場合は袋内の温度が紙に比べ高いでしょうから、クラフトの傘で影を作ってあげる。紙袋+PP白傘と、傘なし袋のみ、袋なし傘のみ、色々試してみましょう。有意差が確認できる程ではないでしょうが、やってみないとわかりません。
【シナノスマイル】50房以上。着果量が多すぎます。果粒肥大が思うようにいかなかったり、着色不良や糖度不足の原因にもなります。どうしよかな?と思いながら、摘房することにしました。葉っぱが黄色くなってるし、マグネシウム不足もあるかも。
もっと摘房しないといけないんですが、ここまで育つとなかなか・・・。
着色のためだけじゃないけど、新梢管理も大事です。房の5~6節先の新芽をカットします。すると今度はその手前の葉の脇から脇芽として新芽が出てきます。これを今の時期は延々と繰り返します。作業しながらふと、ぶどうの芽ってタラの芽に似てるし食べれんかな?と思って調べてみると、なんとブドウ農家はこの時期だけの春の珍味として普通に食べてるみたいですね。産地の道の駅でも売ってたりするみたいです。
ということで早速試食。やっぱり味はタラの芽によく似ています。新芽なので昨日、今日出てきたものなので新鮮です。ぶどうの種類によって味も異なり、子ども達も喜んで食べてました。
裂果したぶどうで、ジベレリンの効果(無核化)の確認をしました。しっかり種なしになっています。抜けてない分もあるでしょうが、大体はいけたかな?
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